基礎講座、講演会

第一回 講演会

日時
2003年03月12日
場所

はあといん乃木坂(健保会館)

参加費用
講演テーマおよび講師
  • 『食の安全にみる日米欧の位相差 ~フードシステムへの信頼を左右する社会・文化条件~』

    東京大学大学院農学生命科学研究科助教授 中嶋 康博 氏

    はじめての食べ物を口に運べるかどうか。眺めて嗅いでそれでも手のでないこともある。世界の珍味を味わおうと思ったら、危険から身を守るための五感は役にたたない。最後は歴史や習俗への理解が手がかりとなる。あくなき美食への欲求と安全の確保を両立させるための知恵、それが食文化の一つの要素である。しかし知識や伝統が全くない新規技術を利用してつくられた食品の場合、人々はどのようにそれを受け入れるのか。その判断にもその国固有の食文化が影響していそうだが、やはり食品行政や食品産業への常日頃からの信頼が鍵となる。

  • 『中国の食料生産事情と対日農産物輸出』

    東京農業大学国際食料情報学部助教授 大島 一二 氏

    本報告の課題は中国農業の現状を明らかにした上で、対日農産物輸出の実態について検討することである。現在の中国農業は生産過剰、農産物価格の下落、農家所得の停滞と大きな問題を抱え、この対策として中国政府は農産物輸出を推進している。一方で低コスト農産物の輸入は日本の外食産業・食品産業等の大口ユーザーにとって必要不可欠なものであり、この二つの動向が現在の食料輸入の急増という事態を招いた。しかし、輸入農産物には2002年に大きな問題となった残留農薬等の課題も多く残されており、なお注視が必要である。

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